八日目の蝉

八日目の蝉
赤西くんDVDの本編感想も書いてないのに映画の感想を先にあげるKYをお許しください。この映画のラスト超泣きました。子供つかった映画はこれだから><><←負け惜しみ
感想はネタバレ含むのでたたみます。



150分もの長編なのに全く長く感じなかった。脚本の惹きつけ力がすごい。演技陣もものすごい。子役のコの演技も見事だし、劇団ひとり小池栄子の演技の確かさといったら・・・!特に小池栄子がこんな演技派だったとは。わざと猫背になり巨乳を隠し、抑揚のない早口なヲタクしゃべり。登場してすぐに「病んでる!」と直感させ、実際彼女が実はこの映画のキーマンで物語を動かしていた。どうしようもなく自分勝手だけどどうしようもなくもがいて、どうしようもなく愛に飢えた人たちばかりが登場していて、その暑苦しさにむせかえりそうになりながらも目が離せないこの映画。子供の時は自分を抱きしめてくれる母親を純粋に愛して、一緒に遊んでくれる近所の子たちが大好きで、そんな幸せな時代もあったのに大人になるとなんでこうも打算的になってしまうんだろう。「自分が愛してるんだから相手にも同じかそれ以上に愛してほしい。自分の幸せのためになら、誰かが不幸になってもしかたない」。この映画に出てくる大人たち全員が持っていた基礎感情はこの自己愛。永作博美演じる希和子は不倫相手の子を誘拐する。自分は中絶手術のせいで子供が産めない体になってしまったからついかわいい赤ちゃんを連れ去ってしまった・・・って圧倒的に自己中。実母の恵津子(森口遥子)は、4年間誘拐犯に慈しまれて育ち、誘拐犯を「ママ」と慕って泣く我が子に苛立ちをかくせず、優しく愛したいのにつらくあたってしまう。恵津子は希和子に対しては被害者だけど、娘にとってはほしい愛情を与えてくれない加害者。娘に落ち度はないのに誘拐犯への憎悪を娘に常に見せつけ、自分はかわいそうな母親だと泣き叫ぶ自己中母。不倫男の自己中ぶりは説明するまでもなし。自分が幸せであれば、誰かが泣いても構わない。誰かが幸せになるとその裏で誰かが不幸になっている。まさに「幸福の質量保存の法則」がこの映画では確実に成り立っていた。自己中な大人たちの中で「家族から愛されている」という実感を持たずに育った恵理菜は「実の母親を悲しませる自分はひどい娘だ。こんな私だから誰からも愛されないんだ」と孤独感を強くしていく。でも実母は娘に愛情表現をうまくできない自分を許せず苦しんでいて、誘拐犯は4年間、めいっぱいの愛を与えてくれていた。どちらも間違った方法ではあったけど、自分はどちらからも深く愛されていたということに気付いて、自身も母親になって子供を精一杯愛して生きよう。両親とも向き合って、初めてできた友達(小池栄子)とも助け合って生きていこう。恵理菜が全てを許して、自分も妊娠した子供を産み育て、家族を強く愛して生きてみよう、と決意したところで映画が終わる。気持ちいい終わり方だったと思う。過去と現在がまぜこぜで、過去部分では希和子が、現在部分では恵理菜が主役という複雑さなのに全く無理がない展開でわかりやすかった。そして女優がみんな全然きれいに撮られようとしていないところが素晴らしい。森口遥子とかあんなきれいな人が全く美人に見えなかったし小池栄子は体の線が極力出ない服を着たヲタク女に徹してたし、永作ちゃんに至っては・・・ほうれい線はひどいわ眉毛かいてないわアイラインひいてないわで、ぶっちゃけ最初のモノローグで出てきたとき誰かわからなかった>< でも小池栄子が封印した巨乳キャラを今回は永作ちゃんが担当している。彼女ってこんなに巨乳だったっけ?と思わず目を見張るレベルのモノだった(ナマ乳見せる場面があったわけじゃないけど)。自己愛と家族愛について考えてみたい方は必見。子供がいる人はハンカチ2枚持参で見るべし。